先日、沼袋オルガンJazz倶楽部で、城谷雄策さん(Tp)、小杉敏さん(Bs)とライブだった。
このトリオは、一昨年の暮れ頃から3ヶ月に1回のペースで続いている。
その前はドラムも入ってカルテットだったのだが、お店のグランドピアノの音色がとても美しくてPAを通したくなかった事( ドラムが入るとどうしてもPAが必要になる )、3人で室内楽みたいにやるのも良いかな、と思った事( 城谷さんのTpの絶妙な音色の変化はまるでクラシックを聴くようだ )、何より、小杉さんのベースのグルーブ感・リズムのうねりが言葉に表わせないくらい凄いので、それをしっかり体感(笑)したかった事、そんなこんなでドラム無しのこの形に落ち着いた。
このトリオで初めて、私のオリジナル曲を演奏してもらった。
『海を見ていた女』というのだ。タイトルだけでお客さんに結構うけた....。
この曲を作ったのはもうずっと以前、popsの楽曲の公募・コンペを目指して、自宅のシンセとPCで簡単なオケを作り、歌の友達に頼んで歌詞無しでメロディを入れてもらったりして、半分遊び、でも頭の片隅で、コンポーザーは無理でもアレンジャーにはなりたいよなぁ....みたいなかなり中途半端な事を考えながらせっせとデモテープを作っていた頃だ。
商業音楽にどっぷり浸っていた頃だから、『海を見ていた女』なんて歌謡曲チックなセンスも仕方ない。曲自体も80年代popsの感じなのだが、どこかjazzになりそうな雰囲気があったので少し手直しをしてみた。
タイトルは変えないことにした。
曲の題名を考えるのは、一枚の絵に名前をつけるのと同じだと思う。
何か抽象的な概念や想いを音符や絵筆で表わしたい時に、表現者は題をつける。
チャイコフスキーの『悲愴』を聴いて、私たちは底知れない悲しみを体験し、ムンクの『叫び』を観て恐ろしい不安を作者と共有する。
あるいは、創り出されたものから表現者がインスピレーションを得て題名をつけるかもしれない。
いずれにせよ、題名があって、作者と受け手はある共通のイメージを持ち得る。
W・ショーターの『yes or no』という曲をライブでやったのだが、この曲は、A-A-B-Aという構成。
ものすごくかっこ良くて大好きな曲だ。
A-Aの部分で「yesなのかnoなのか?」あーだこーだ自問自答して「ああ....もう!」とぐるぐる悩み、-Bの部分で「thinking time!、ちょっと冷静に考えてみよう」てな感じで多角的、分析的にいろいろやってみた挙げ句、結局-Aで「ああ~、やっぱ分かんないじゃん !!」みたいな展開で、私は演奏しながらこのご本人の心境を察すると、何だか大変ですねぇって不謹慎にもニヤニヤしてしまうのだ。
『It's Easy To Remember』というバラードをリクエストを頂いて演奏した。「思い出すのは簡単」、ん~?どういう事?
歌詞の中に、でも忘れるのは難しい、あなたの事は....なんて、もう粋だなぁ~って思わず涙が出そうになった(笑)。
曲のタイトルは私にとってものすごく大事な要素だ。
スタンダードの曲を練習する時、題名から妄想モード(笑)に入ることが珍しくない。
話は戻って、私のオリジナル『海を見ていた女』。
私としては ”海” にかなりこだわりがあり、MCで、
「男の人はよく海に向かってバカやろ~なんて叫びますよねぇ。」なんて言ってしまい、城谷さんからいいだけ突っ込まれた。
「海に向かってバカやろ~っなんて叫んでる男、見た事あるんですか?」
ん~、そういえば見た事はないし、友達から聞いた事も無い.....。
でもほら、森田健作とかさぁ....。
「健康優良児みたいなどっかの男が、海岸走ったり海に叫んだりするんですかねぇ....。」
ライブの最後まで突っ込まれた(笑)。
何だか私、学校の先生みたいだ....。
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yuko (月曜日, 30 1月 2012 16:26)
「海を見ていた女」、早く聴いてみたいです。どんな曲かしら。今度はいつなさいますか?