最近3週間ほど、左腕上部から指先まで、正座した後の足みたいにじーんとしびれている。
心臓から勢いよくスタートした血液が、いきなり細い道で行く手を阻まれ、それでも無理やり速度を落としつつ頑張って走っているって感じだ。
肩と首のコリからきているのは何となく分かる。
JazzPianoの仕事を始めた頃、先輩が「絶対大事だぞ。」と言って、いくつかストレッチの体操を教えてくれた。最近、ストレッチさぼってたなぁ....。後悔先に立たず.....。
慌てて、井荻駅すぐ近くの整骨院に駆け込んだ。
以前シンセサイザーを弾く仕事をしていた時、5~6台の楽器とけっこう大きなラック数個、その他諸機材をスタジオに運び込むのがえらく大変で、最初は自分でやっていたけれど、すぐにアルバイトの人に頼む事にした。手や腰を痛めそうで怖かった。
そもそも機材ひとつひとつがかなり重いので、ちょっと持ち上げたり移動する時にも、絶対油断しないように気を付けていた。
その後、ピアノを弾くのが仕事になってしばらくすると、右手が軽い腱鞘炎になった。
毎日、手首を大事に暖めて、揉んだりさすったりして自力で治した。
小さい頃から高校生までクラシックピアノを習っていて、私も周囲も、当然音楽の道に進むと思っていた。
でも○とペケを譜面に書くだけの先生がずっと大嫌いで、高校2年生の時、反抗期の実力行使のようにいきなり先生の家に一人で出かけていって、「やめます ! 」と宣言した。その時のびっくりした先生の顔を今でも覚えている。
それで音楽と一切縁を切った。.....つもりだった。
今こうして、腱鞘炎になるまで毎日練習し、手と指を何よりも大切にしている自分が、我ながら何とも奇妙で不思議に思える。
ついこの前、一緒にライブをした20代半ばのトランぺッターが、「僕は大学のJazz研に入るまで、トランぺットもJazzも知りませんでした。」と言うのを聞いて、もの凄くびっくりした。
だって彼のトランぺットが奏でる音は、まさに何十年もJazzに慣れ親しんできたプレーヤーの音に聞こえた。
もう一つ、かなり前だけど同じようにびっくりした事がある。
popsの仕事で何回か一緒だったギターリストが、わずか2年くらい会わないうちにキーボードを駆使する売れっ子アレンジャーになっていて、彼が真顔で言った言葉がすごかった。
「僕ね、ある日突然、知らないキーボーディストの霊が憑いちゃったんだ....。」
若手トランぺッターにクリフォード・ブラウンの霊が憑いた、、なんて考えられないけれど、でもきっと、奇跡のような巡り合わせが彼をJazzの世界に引き込んだのだ。
同じように、売れっ子アレンジャーも私も、何かに導かれるようにそれぞれの音楽への道を歩んだ。
自分の意志、人間の意志とは全く違う次元の、未知な存在の大きな意志の流れがもしあるのならば、その流れに逆らわずに生きて来たその結果と言えないだろうか。
”何となくこうなっちゃったんだよね.....。”
運命なんてそんなものかもしれないと思う。
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