東京

今年2月、父の看護と母の介護の為に急遽、新潟に帰る事にした。

長年暮らしてきた大好きな東京を全く離れてしまうのは辛かったので、新潟から定期的に通おうと決めて、一番悩んだのが宿泊をどうしようかという事だった。

経費は安いに越したことはないけれど、安心・安全・快適を考えるとあまりな安宿は避けた方がいい、、。

そんな気持ちを察していろいろな方々が助けてくれた。

最近定宿になっているのは、三鷹ソニドのママが御厚意で予約してくれる高層マンションのゲストルームだ。

ホテルに比べて格安だがマンション関係者しか利用できない。

3〜4人用の豪華な部屋にたった一人でいると、最初の頃はどうも落ち着かなくて隅の方でこじんまり寝ていた(笑)。

ゲストルームは20階にあるので、ベランダからの眺めは絶景だ。

人間、高い所から下界を見下ろすと、普段思いもしない事をいろいろ考えるらしい。

 

東京は、猫のような街だと思う。

昼寝ばかりしているそこらの猫たちよりずっと活動的だが、のんびり優雅に目を閉じている間も外界をちゃんと警戒している、頭を撫でようと近寄るとするりと逃げてしまう、好きだよ~と愛を打ち明けてもふ~ん?! なんてそっぽを向く....上手く説明できないけれど、何となく猫と東京の街の空気は似ている気がする。

スタイリッシュで薄情で、個人主義で気まぐれで、こちらに全く無関心かと思いきやしっかり観察していたりして、稀に甘えたり照れたりする......そんな都会人の一般的なイメージに、当てはまる人もいれば全く逆な人もいる。

でも東京という都市を思う時、私は何故か猫みたいだと感じる。

 

私は母の猫好きのおかげで、小さい頃から沢山の猫たちと一緒に育った。

猫が好きというより、憎たらしいと思う時の方が多かったけれど、今思えば、本当にたくさんの事を彼らを通して感じたし学んだと思う。

同じような感覚が東京にある。

 

東京で本当にたくさんの経験をした。

楽しかった事もいっぱいあるが、辛かったり悲しかった事の方が心に残っていて思い出すと胸がキリキリと痛む。そして同時に、心地良く酔った時のような爽快感もどうしてだかある。

きっとそれは、苦しい事にぶち当たったから成長できたという自覚があるから。そんな感謝にも似た気持ちがあるから。

だから、東京は私にとって"うちの猫たち"と同じような存在なのだ。心を育ててもらった、強くしてもらった。

 

猫たちは今はもういないけれど、東京は今、私の目の前に広がっている。

夜景を眺めながら、やっぱり離れたくなかったなぁと思う。

人間、高い所から下界を見下ろすと、普段思いもしない本音が出るらしい(笑)。