2014年

10月

14日

ピアノ

9月初旬のある日、朝ご飯を食べてインターネットで朝のニュースをゆるゆる見ていたら、マンションの管理会社から電話がきた。

「重低音でドンドンドンという振動音がする、という苦情があるんです、、。」

うちはTVもステレオも置いてないし、ピアノはヘッドホーンで練習しているので音は全く出ていないはずですが、と返事をすると、

「あ、そうですか。いや、どこのお部屋からの音かは分からないんです。」

その後、管理会社からの電話はないので解決したのだろうか?

 

このマンションは鉄筋コンクリート造だし、窓を閉めてしまえば遠くに電車の音が聞こえるだけだ。( 駅から2分にもかかわらず....。)

でも「鉄筋は意外と低音振動が他の階へ響く」という話を聞いた事があるので、ピアノの打鍵音の事がもしかしたらと心配になった。

インターネットでいろいろ調べて、埼玉の防音専門の会社に相談したらやはりそうした事案はけっこうあるそうで、迷わずお願いする事にした。

 

家に置いてあるのは音の出ないグランドピアノという、普通のデジタルピアノとはちょっと違うタイプのピアノだ。( ハイブリッドピアノと言うらしい。)

防音・防振のボードを3週間かけて製作してもらい、ピアノの下に敷き込んでもらう為にわざわざピアノ運送の業者さんに来て頂く事になった。( なにせピアノの重量が124Kgもあるので。)

そして今日、フローリングの床の色にまで配慮した素晴らしく美しいボードが家のピアノの下に敷かれた。

管理会社の電話から苦節一ヶ月、打鍵音を気にしながらおっかなびっくり撫でるようにピアノを弾いていたが、今日から思い切り練習できるんだと思ったら感無量で、立ち会いの為にわざわざ来てくれた防音会社の方に何度も何度もお礼を言った。


 

都会で楽器を練習するのは本当に大変だ。

野中の一軒家でもない限り、ピアノを弾く・ドラムを叩く・ベースをかき鳴らす・サックスやトランペットを吹くっていうのは相当環境に対して問題が大きい。場所によっては昼間でも無理だったりする。

だからみんな、日々の練習の為に知恵と財力を振り絞る。( そこへいくとギターってものすごく恵まれてる気がする ! )

 

わずか一ヶ月とはいえ、目の前にあるピアノを思い切り弾けない苦難を経験した今、どういう状況であれ毎日楽器を弾けるというのはなんと幸せな事なんだろうかと思う。

新潟に居た一年半、ピアノが目の前にあっても心が向かえなかった。

音楽とはかけ離れたところに気持ちがあった。

今、弾きたい気持ちがあっていつでも弾ける環境があるという事が自分でも信じられない。

部屋のピアノと真新しい防振ボードをしみじみと眺めた。

嬉しさと感謝と混ざって、新潟に居た時の自分を想い出して少し切なくなった。