アンパンマンの謎

お正月元旦。

新潟市のローカル電車”越後線”に乗っていたら、通路の向かいに座っていた家族連れの小さな女の子が、よほど退屈だったのか両親を困らせるくらいにぐずり出した。2歳くらいだろうか...。

お母さんとお父さんがいろいろやってみるが、全然駄目である。

見ているこちらもギャン泣きやむなしと覚悟していたら、お母さんがおもむろにバッグの中からなにやら市販のお菓子の箱を取り出した。

女の子はその箱を見ていきなりおとなしくなった。まじっとパッケージの絵を見てから箱の中のチョコレートを一つ口に入れて、さっきまでの騒ぎが嘘のように、片手にしっかりお菓子の箱を握ってもぐもぐしている。

そのチョコレートは『アンパンマン・チョコ』である。

パッケージには、勇ましくも愛らしいアンパンマンとその仲間たちが描かれている。

たまたまその女の子がチョコレートが大好きだったから、私たち乗客一同は事なきを得たのだろうか?

否、彼女はアンパンマンが大好きだったのだ。全てはアンパンマンのお蔭、絶対に間違いない。

何故なら、同じような光景を何回も見たから...。

四ヶ月前に従兄弟の娘さんの結婚式に参列した時、親族のご夫婦がやはり2歳くらいの女の子を連れてきており、一族写真撮影の際に撮影スタッフが彼女のご機嫌をとろうといろいろやるが上手くいかない。

お母さん:「アンパンマン人形、忘れてきちゃったわ、、。」

スタッフが他のマスコット人形を持ってきて「ほら、アンパンマン~!」とかやるが、本物アンパンマンを見分ける彼女は見向きもしない。

「こんな偽物で騙そうなんて失礼しちゃう!」ってなもんである。

よく行くライブハウスのママの娘さんも、アンパンマンが大好きな2歳児だ。

先日、ツッチーが、クレヨン12色セットで彼女の為に一生懸命アンパンマンを書いていた。隣りでママも負けずに食パンマンを書いている。

ツッチーに「よく書けるねぇ。凄いねぇ。」と感心したら、「俺の息子もアンパンマン大好きだったからさぁ。」

 

2歳くらいの子にSNSのトレンディ情報が入るはずも無く、親世代がアンパンマン世代だったわけでもない。全国のTVで毎日、番組が流されているってことでもないだろう。

これってまさに日本の子供界の『謎』・怪現象じゃないだろうか?

そこで、インターネットで『アンパンマンは何故子供たちに人気があるのか?』を検索してみた。

 

<アンパンマンに対する子供の反応>ー親の話ー

・テレビで見たわけでもなく、買い与えたわけでもなく、教えたわけでもないのにいつの間にか(たぶん1歳前にはすでに)お店で見かけるたびに「パンマン!」と指差して叫ぶようになってました。それも、どんな小さな絵でも見逃さずに。

・2歳と3歳の男の子、アンパンマン大好きです。初めての言葉が2人とも「アンパンマン」でした。それからもしばらくは口から出る言葉全てがアンパンマンでした。

・スーパーでお菓子のパッケ-ジのアンパンマン見ただけで大騒ぎです。

 

<玩具メーカーのバンダイが毎年実施している「子どもの好きなキャラクター」に関する調査で、2002年から連続11年1位の快挙>

ほう、、恐るべし!

 

ネットではその理由についていろいろな考察が為されていた。

赤が良いとか丸顔とか4頭身だからとか....。う~ん、、それならお正月の鏡餅の上に蜜柑がのってるのとか、もうちょっとみんな喜んでもよさそうだけど、、。

 

以前、クレヨンしんちゃんの記事で「大人が面白いものは子供も面白い」と書いたが、アンパンマン怪現象を知ってから、子供のアンテナは大人とは別感度のやつが数本立っているんじゃないかと思うようになった。

男性なら”超合金ロボット”、女性なら”着せ替え人形”みたいな、大人になっても記憶に残る宝物とはまったく別次元のところにアンパンマンは居て、それをキャッチするアンテナは3歳以下の子供しか持っていない。そして3歳を過ぎると、そのアンテナは突然消滅してしまう。

その時にはもう、どうして好きだったのか、好きだった事すらも思い出せなくなる。

 

ん、ちょっと待てよ...このアンテナ。

ホラー・ファンの私が今頃気付くとはなんと迂闊な、、。

2・3歳くらいの子供のアンテナ、これはホラー映画では定番アイテムだ!

母親が、小さな我が子の顔を不安そうに覗き込んで訊ねる。

「○○ちゃん、今誰とお話していたの?一人で何おしゃべりしていたの?」


霊と交信する能力を普通に子供が持っているというのは、ホラーの世界では常識だ!( ホラーの常識って何さ、と突かれそうだけど...笑。)

実際の怪奇現象でも、そうした例がいくつも報告されている。それも世界中で。

霊が見える子が相当数いるってのはどうも事実らしいのだ。そして、大きくなるとだんだん見えなくなる。

 

もちろん、アンパンマンと幽霊に共通項はない。たぶん違う周波数を感知する別アンテナと思われ、、。でもこんなふうに考えると、小さな子供に一体何本アンテナが立っているんだ、と俄然わくわくしてしまう。

彼らが不思議そうな顔でどこか一点を見つめている時、そこには異次元の入り口が開いているのかもしれない!!

 

、、いかんいかん。アンパンマンからすっかり外れてしまった、、。

『アンパンマンは何故子供たちに人気があるのか?』 o_o

たぶんアンパンマンは、子供たちにしか感じ取れない”何か”、めちゃめちゃ子供が大好きな”何か”、丸だの赤だのじゃなくもっと根源的な、人間の本質に関わる”何か”を持っているのだ。

それは大人が既になくしてしまった感性が感じるもので、親でさえそれが何か分からない。

 

これはきっと『アンパンマンの謎』ではなくて、『子供たちが持つ不思議なアンテナの謎』である。

アンパンマンは期せずして、このアンテナに引っかかったのだ。あるいは、作者”やなせたかし”が普通は失くしてしまう子供の感性を持った大人だったのだ。

そのどっちかは分からないけれど、”何故”を探るのはもの凄く無意味だ。真相が分かったところで、私たちにはきっと理解できない。霊の存在も異次元も信じられない大人たちの感性では、きっと理解できない。

 

子供たちが見ている世界は、人が生まれ出る前の世界、魂の世界とオーバーラップした世界ではないのか。

子供たちが成長する過程で徐々に大人の作った世界にシフトして行き、根源的な感性を失う事で現実世界に適応するのではないか?

魂の世界の記憶を忘れる事で、大人たちとうまく折り合いをつけるのではないか?

不思議なアンテナは、人が生まれ出る前の世界とこの世を繋ぐ唯一のもので、わずか数年で消滅するので存在を確認する事や証明する事ができない。

この謎はオカルトの世界でしか議論の俎上に載らないし、そもそも子供が大人と同じ物を見ているのかという事について疑問を感じる人などいるのだろうか?

 

『アンパンマン』ーいろいろ考えてみたけれど結局よく分からない。大人だからかなぁ、ホラー好きだけど....(笑)。

しかし2・3歳くらいの子供って本当に面白い。謎多し!

自分が小さい頃の事、もっと覚えていたらなぁ....。

アンテナ、何本立ってたんだろう?魂の世界の記憶、持っていたんだろうか?