***Part5より続く***
文京区立森鷗外記念館は、森鷗外の生誕150年の2012年、千駄木の旧居「観潮楼」の跡地に建てられた。
もともとこの場所には文京区立鷗外記念本郷図書館が建っていて、もう十年以上前になるが、敷地内に残っている有名な「銀杏の木」や「門の敷石」「3人冗語の石」の写真を撮って、上野精養軒でコーヒーを飲む、という私的ミーハー鷗外ツアー(笑)をやった事がある。
精養軒という老舗西洋料理店は、明治の文豪たちと非常に関わりが深く、鷗外や漱石の小説にも登場するし、留学を終えた鷗外を追ってドイツから来日したエリスが泊まったのが、築地精養軒であった。
築地精養軒は関東大震災で全焼し、現在は上野が本店である。
新しく改築された森鷗外記念館のことはインターネットで知って、ずっと行きたいと思っていた。
ファンの心理として、このような場を訪れるときのタイミングは、万全の体調と万全の環境を要求する。つまり、気分が良くて天気が良い日だ(笑)。
待望のその日、朝から何だか嬉しい。
今回は、他の場所も見て回るというようなツアーではなく、鷗外記念館だけをじっくりゆっくり観ることにした。
電車の乗り換えを調べて、いざ文京区千駄木へ。
どっぷりと、鷗外と明治という時代に浸った半日だった。
鷗外が亡くなる一年前、何かの行事の際に広場を足早に歩く映像が残されていて、ほんの2〜3秒の短いものだったが、実際の鷗外の動く姿が見れて感激した。
何回も見てしまった(笑)。
5月からほぼ3ヶ月間、鷗外について、とりとめもなくいろいろ書いてきた。
作品もいくつか読み返した。
今日の記念館では新しい発見もあった。
何故だろう、こうやって鷗外と向き合うことで、自分の心が慰められるような、癒されたような気がしている。
こんな気持ちになるなんて、我ながら意外だった。
明日からまた頑張ろうと、ただそれだけをまっすぐに思った。
力をもらった気がした。
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