2016年

12月

22日

鬼平犯科帳

人間国宝・中村吉右衛門さん主演の人気時代劇シリーズ『鬼平犯科帳』が、今月3日の放送をもって終了した。

1989年から全150作。ずっと大ファンだった。

父が生きていた頃は、ビデオにとって家族でよく見ていた。

 


原作は池波正太郎氏の捕物帳で、江戸時代後期に実在した火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵がモデルになっている。

 「原作にないものはやってくれるな」という池波氏の遺言で、これ以上は続けるのが難しくなったみたいだ。

 

オープニングでは毎回、勇ましい捕り物シーンをバックに淡々としたナレーションが流れる。

 *** 「いつの世にも悪は絶えない。その頃、徳川幕府は火付盗賊改方という特別警察を設けていた。凶悪な賊の群れを容赦なく取り締まるためである。独自の機動性を与えられた、この火付盗賊改方の長官こそが、長谷川平蔵、ひと呼んで『鬼の平蔵』である。」***

どこか民放らしくない、生真面目なトーンのナレーションだ。

メラメラ火が燃えて、ばったばったと悪者が斬られるめちゃめちゃ派手な捕り物とまったく対照的なのがいい。

 

エンディングには、日本の四季折々の風景、夏の風鈴売りや冬のそば屋台など町人たちの姿がまるで広重の浮世絵のように美しく映され、ジプシー・キングスの『インスピレーション』がそのシーンにぴったり合っていた。

池波正太郎氏の原作本を読んでいたので、  作品に流れる時代の空気や”男の美学”、密偵たちの人間臭さみたいなものが損なわれることなくちゃんと表現されているように感じて、民放なのに(笑・すみません....)、と感心していた。

 

本物の「長谷川平蔵」は、徳川家斉の時代に火付盗賊改方の長官だった人で、庶民から「本所の平蔵さま」「今大岡」と呼ばれて非常に人気があった。

罪人の更生の為の施設「人足寄場」を最初につくったことでも有名だ。

幼少の頃から地元のワルとして名前が通っていたらしいが、有能ながら人情味に溢れ、型にはまらない仕事をした豪気な人で、同僚から妬まれたせいで思うように出世できなかったらしい。

 

小説の中では、盗賊たちから鬼と恐れられる一方、平蔵を慕い手足となって働く密偵たちや部下の役人、妻や友人たちに細やかに心を配る、大胆で厳しいのに温かくて懐が深い人として描かれている。

まさに理想的な上司!ちょっとワルなところもかっこいいわぁ....って事で、男性も女性も絶対にファンになる魅力的な人物なのだが、中村吉右衛門さんは、そんなファンたちの想いを裏切る事なく、もうこの人しかいない!と確信するくらいに「長谷川平蔵」を演じてくれた。

 

私にとって、「眠狂四郎」の市川雷蔵、「シャーロック・ホームズ」のジェレミー・ブレット、「エルキュール・ポワロ」のデビッド・スーシェと共に、永遠・唯一無二の「長谷川平蔵」の中村吉右衛門になった。

でも「エルキュール・ポワロ」は2014年に最後の作品『カーテン』でシリーズが終わり、市川雷蔵もジェレミー・ブレットももうこの世にいない。

う〜、『鬼平犯科帳』も終わってしまって、この先、何を楽しみに生きていったらいいんだ〜....(泣)。

 

今は、夜寝る時に、YouTubeで昔のシリーズを順番に見ている。

20年以上前の作品ということで、中村吉右衛門さんはもちろん、多岐川裕美さんも梶芽衣子さんも若い若い!

そしてびっくりするほど綺麗だ。

 

28年間続いた『鬼平犯科帳』。本当に長い間、お疲れ様でした。

そしてたくさんの感動をありがとうございました!