シャーロック・ホームズ -Part4-

シャーロック・ホームズとワトソン博士、エルキュール・ポワロとヘイスティングス大尉。

二人の名探偵とその相棒たちは、今も世界中の推理小説ファンに愛されている。

 

ホームズやポワロは相当な変人だが、その周りの登場人物--ワトソン博士・ヘイスティングス大尉を含め、一般の英国人はいたって普通の人たちだ。もちろん犯人以外は、、。

そういう人たちの言動を見ていると、日本人と英国人は、気質というか佇まいというか、どこか似ている気がする。( 現代のイギリスはちょっと違うかも? )

 

先日、ある本で読んだのだが。

太平洋戦争が終わった後、30年間もそのままフィリピンに潜伏していた元陸軍情報将校・小野田少尉。

彼がルバング島から日本に戻った時、羽田空港では大勢の報道陣が待ち構えていた。

年老いた父親と対面した彼は「ただいま帰ってきました」と言い、迎えた父親も丁寧に「ご苦労だった」と言った。お互いに抱き合うわけでもない。

その光景を見ていたイギリス人の記者が「イギリス人と同じだ。ヨーロッパ大陸の人間なら抱いて号泣するだろう」と言ったのだそうだ。

 

なるほどなぁ、、。

そう言えば、ワトソン博士もヘイスティングス大尉も、感情あらわに我を忘れて抱きついたり号泣したりという事はほぼ無い。

 

*英グラナダTV制作『シャーロック・ホームズの冒険』(1984〜1994年)

*英ロンドン・ウィークエンド・テレビ制作『名探偵ポワロ』(1989〜2013年)に拠る。

 

ホームズやポワロが、相手の気持ちなぞお構いなしに酷いことを言ったり無礼なことをやった時、( 名探偵たちは天才だからとっても我儘だ!)、ぐっと言葉を飲み込んで無視を決め込む時の相棒たちの顔つきは、私の父や周りの男性たちに見慣れたものだ。( 母も私も、我儘さだけは名探偵に負けていない・笑 )

 

英国紳士のダンディズムは、日本男児の武士道由来的な道徳とどこか通じるものがあるんだろうか。

 

ポワロはベルギー人で、時折、彼には奇異に見えるイギリス人の性格を茶化したり文句を言ったりする。

まぁ、ヘイスティングス大尉もフランス人やベルギー人に対しては辛辣だが、紳士だからめったに口に出して言わない。

面白かったのは、ある事件の聞き込みで、フランス人の老人( たぶん70歳代 )が愛人をもっていると聞いた時だ。

ヘイスティングス大尉が呆れてびっくり仰天するのだが、ポワロは平然と、そういう事に驚くのはヨーロッパであなた方イギリス人くらいなもんです、と言う。

 

これはたぶん、日本人も驚き呆れる事案だ。

 

『アクロイド殺人事件』の冒頭、ポワロがロンドンから郊外の田舎へ引っ越してすぐ、ご近所さんたちと挨拶するたびに「庭をお持ちでお幸せね。」と言われて辟易する、という場面がある。

『あなたの庭はどんな庭?(How Does Your Garden Grow?)』では、庭の所有権もからんで殺人まで起きる。

丹精込めて手入れをした庭を他人に奪われるのは、犯人にとって我慢ならない事だったようだ。

一般庶民の庭好きは、日本人もイギリス人に勝るとも劣らない。

私の周りには、庭石や灯籠、池や苔....そういうものに大金を投じる人たちが少なからずいる。

 

日本人とイギリス人の似ているところ--探せば他にも色々あるのだろうが、コナン・ドイルも会員だった『心霊現象研究協会(SPR)』は、ホラー・ファンな私としては、もっとも注目するところである(笑)。

 

次回は、心霊に関する日英の共通点について考えてみます。

 

***Part5に続く***

 

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コメント: 2
  • #1

    ぅぉ (土曜日, 09 12月 2017 16:43)

    ポワロもアニメ化されてますね。 こちらは宮崎さん関係ないけれど
    ポワロさんの中の人が里見浩太郎さんってびっくりなキャスティングでしたが。

  • #2

    michiko (月曜日, 11 12月 2017 20:53)

    里見浩太朗さん....。って、全然イメージが違いすぎて絶句しちゃいました(笑)。
    TVドラマの吹き替えの声も、全くイメージに合わなくて、、。
    だから、デビッド・スーシェの台詞を少しでも聞き取れるように、英語を一生懸命、勉強したんですよ〜 ^ ^