ブラックアウト

今年の夏は、列島中が、酷暑に加えて台風や地震で被害を受けた。

特に北海道では、「史上初のブラックアウト」が起きた。

停電による様々な混乱が報道されて、つくづく私たちの生活は電気なしでは成り立たないのだと痛感した。

 

「史上初のブラックアウト」と聞いて、ずいぶん昔に見た、織田裕二主演の『ホワイトアウト』という映画をぼっと思い出した。( 不謹慎ですみません、、。)

雪に閉ざされた山奥のダムで、テロリストと織田裕二扮する普通の青年が死闘を繰り広げるという日本版『ダイ・ハード』みたいなストーリーだ。

邦画にしては緊迫感あふれる演出で、織田裕二=青島刑事(『踊る大捜査線』)でファンだったから、かなり印象に残っている。

”ブラックアウト”と”ホワイトアウト”。

どっちもアウトだなぁ…。悪い事が起こるぞっていう意味で…。

 


”ブラックアウト”という言葉は、確かドラマ『名探偵ポワロ』の台詞で初めて聞いたのだ。(字幕で見たから、英語で”blackout”)

政情不安が続く1930年代のアルゼンチンが舞台で、街じゅうに不穏な気配が漂い、ポワロが泊まったホテルでは毎晩のように”blackout”が起きる。

 

実際、その頃のブエノスアイレスでは軍部によるクーデターが起きていて、”ブラックアウト”は政治やインフラがしっかりしていない国で起きるものかと思っていたら、先進国アメリカ・ニューヨークでも過去数回、大規模なものが起きている(1965年、1977年、2003年)。

まぁ、あの国は大きいし住民もたくさんいて使う電気量もきっと半端ないから、時々は仕方ないのかもしれない。

 

でもでもまさか、この日本で起きるなんて!と報道各社も驚いたんだろう、今回の北海道の停電は衝撃を以って「史上初のブラックアウト!」と伝えている。

 

ん? 阪神淡路大震災や東日本大震災の時とは違うのか?

調べてみたら、あれは”ブラウンアウト”の状態なのだそうだ。

電力システム全域が停電したのではないので、”ブラックアウト”ではないらしい。

アウトにもいろいろあるのだ。

 

停電発生後、メディアでは日本のエネルギー政策について侃々諤々の議論が交わされている。

議論を聞いたり読んだりすると、どこまでいっても平行線のような気がしてちょっと虚しくなる。

こんな危機を経験して、いつまで結論が出ない議論を続けるんだろうか?

 

不眠不休で復旧に尽力奮闘した現場の電力マン、自治体の職員の方々。

それに、各地で災害救助にかけつけた自衛隊やボランティアの人たち。

こういう人たちに、日本は支えられているのだなぁ、、。改めて頭が下がる思いがした。

 

そして、電気の大切さに思い到ると、当たり前の日常が、実は決して当たり前じゃないことにはたと気付いて、薄氷の上にいるような妙にこわごわした心持ちになった。

 

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コメント: 2
  • #1

    ぅぉ (日曜日, 23 9月 2018 20:26)

    おっしゃるとおり、この国の発電に関する動きは、薄氷の上と言う言葉が
    ぴったり合うかも。 しかも前に進むも地獄、引き返すも地獄の絶体絶命感が
    ハンパない。

  • #2

    michiko (木曜日, 27 9月 2018 08:22)

    ぅぉさん、民主主義は難しいとつくづく思います。
    多数決で全て決着という訳にいかない問題が多いですね、、。