ポワロ -Part3-

第一次世界大戦中、アガサ・クリスティーは看護師や薬剤師の助手として奉仕活動に従事した。

そこで得た薬学の知識を駆使して数々のミステリー作品を執筆し、その多くが世界的なベストセラーになった。

エルキュール・ポワロは、33の長編、54の短編、1つの戯曲に登場する。

 

中学時代に読み始めたポワロ・シリーズだが、いろいろな種類の毒薬が出てきて、それも頻繁に出てくるものだから、中学生のくせに砒素とかモルヒネとか覚えてしまった。

1990年にNHKで始まった英TVドラマ『名探偵ポワロ』は、主演のデヴィッド・スーシェが大好きで、好きなエピソードは英語版で繰り返し見た。

おかげで、これまた覚えなくていい毒薬の英単語と、使用する際の注意事項なんてのを無駄にたくさん覚えた。

 

例えば、ストリキニーネは非常に苦いので、怪しまれずに飲ませるには生牡蠣なんかと一緒にツルっといくか濃いコーヒーに混ぜる。

ヒ素中毒は胃炎と症状が酷似しているので、ボンクラなお医者に普段から診断させる。

リン中毒は緑色の息を吐く場合がまれにあるので、迷信深い田舎だと魂が抜けた!とか言って騙せるかも....。

しかし犯人が逃げおおせた成功例が一つもないので、ちっとも参考にならない(笑)。

いや、別に参考にしようって訳じゃなくて、、。

 


青酸カリとか一酸化中毒とか、英語で言える!と自慢したら、友人にちょっと言ってみろと言われた。

「エ」の口を保ちながら「ア」と発音するという至難の技を使って苦労して発音したら、「ふ〜ん。。」と胡散臭げな目で見られて終わりだったので、ちょっとは尊敬しろ、と思ったが、客観的に見て友人の反応が正しいように思われたので、これは人前でやってはいけない自慢だな、と悟った。

 

古典ミステリーファンにとって、殺人は単なる舞台設定の一つである。

そこにリアリティーを感じさせる必要はほぼない。

探偵が登場して謎解きが始まり、犯人を含めた周辺の人々の過去の秘密や暗い欲望、複雑な利害関係が白日の下に晒される。

そこに至るまでの人々の姿がリアルなのであって、トリックの巧妙さと共に、いかに登場人物が自然に行動するか、犯人にさえ感情移入できるほどに人の心の内面が描かれていれば、きっとその作品は傑作ミステリーだ。

 

それでも前提となる事件としては、首を絞めたり銃やナイフを使うより、毒殺はどこか知的な趣がある。

”激情に駆られて”という設定が成り立たないからだ。

犯人たちは巧妙に毒薬を手に入れ、周到に準備し、もちろん殺害現場では何食わぬ顔をしている。

クリスティーは薬学の専門知識を使って、犯行そのものにもリアリティーをもたせた。

 

最近、『アガサ・クリスティーと14の毒薬』という本が出版された。

イギリスのサイエンス・ライター、キャサリン・ハーカップ氏著である。

サイエンス・ライターって耳慣れない職業なので調べてみた。

 

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*サイエンス・ライター(Wikipedia)

 

科学( 主に自然科学 )に関連する記述を専門に行う著作家のこと。欧米では「science journalist」と呼ばれることが一般的である。

サイエンス・ライターは、科学を、ジャーナリズムの観点から解説・説明すると同時に、高度で複雑な専門用語や難解な数式などを簡素かつ明確に説明する能力・技術・解説能力を必要とする。

〜以下略〜

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ふ〜む、もの凄く賢い理系の著作家さんらしい。

この本では、毒薬の特質を科学的に説明しつつ、クリスティー作品の中でどう使われているか分かりやすく解説しているそうだ。

文芸作家じゃなく”サイエンス・ライター”が書いているので、きっと現実的で信頼できる内容のはず、、。

ドラマで仕入れたいい加減な知識を、きちんと教えてくれるに違いない。

 

秋の夜長に読んでみるか。

正しく知ったからって、誰に自慢できるわけじゃないんだけど、、。

 

***Part4に続く***

 

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コメント: 15
  • #1

    ぅぉ (金曜日, 26 10月 2018 00:04)

    正しく知ってると、解決出来る人になれるw

    実に面白いとか言いながら、閃いたら、物理の数式ではなく
    化学式とか、道端に書き始める感じw

  • #2

    michiko (金曜日, 26 10月 2018 09:44)

    化学ガリレオ〜 ^o^
    でも、やっぱり奇人変人な気が、、。

  • #3

    ぅぉ (金曜日, 26 10月 2018 13:44)

    解決する人はみんなそんな感じが。

    ガリレオ先生、右京さん、古畑さん、コナン君、折木君(氷菓)
    みんな変わってる。

    でなきゃ魅力が

  • #4

    michiko (金曜日, 02 11月 2018 08:57)

    自分のそばにいたら、困ったちゃんだけど ^ ^

  • #5

    ぅぉ (土曜日, 03 11月 2018 20:50)

    www 確かに! 画面の向こうだから興味深く見てられる。
    右京さんとか実在したら面倒臭そうです。

    でも、これ異性だったらどうだろうと、本日別件で映画を見てきました
    「ビブリア古書堂の事件手帖」って作品ですが。 本が好きで詳しすぎて
    事件を解決してしまう、栞子ちゃんって娘が主人公です。黒木華ちゃんが
    演じてました。  そばにいたら嬉しいかも。www

  • #6

    マッチ (日曜日, 04 11月 2018 08:23)

    犯罪者も、解決する側も共通の専門知識が必要となります。
    一般に、同じ見識をもつ人どうしは同じ気質になる傾向があると思います。
    両者を分けるものは何なんでしょうか?
    単なるモラルや正義感だけでは無いような気がします。

  • #7

    michiko (日曜日, 04 11月 2018 09:30)

    「ビブリア古書堂の事件手帖」見たいです、是非。黒木華さんも好きだし。

    マッチさん、共感です。警察官の犯罪とかも、問題の奥深さを感じたりします。

  • #8

    ぅぉ (日曜日, 04 11月 2018 15:47)

    「善悪はそれを用いる者の心にあり」科学者がよく使う詭弁です。
    と言うセリフを、押井守さんと言う監督がキャラクターによく言わせる
    のです。

    どう言おうと知識や技術を使って悪い事をしようって人が悪いのであって
    その人の根っこにあるのでしょう。

    「ビブリア古書堂の事件手帖」TVドラマもあります。 栞子ちゃん役は
    剛力ちゃんでシュートカットなので原作と随分イメージ違いますが。

  • #9

    ぅぉ (日曜日, 04 11月 2018 17:03)

    あれ? 自分で書いてて
    何か言ってること矛盾してるっぽいw

  • #10

    michiko (日曜日, 04 11月 2018 22:56)

    「ビブリア古書堂の事件手帖」TVドラマ。ネットにあったので見ちゃいました。ドンピシャです〜ww『100分で名著』+『ガリレオ』みたいな、、。
    映画も楽しみです!

  • #11

    ぅぉ (日曜日, 04 11月 2018 23:42)

    私は原作の最新刊が積読状態にw 早く読みたいのだけれど。

  • #12

    マッチ (月曜日, 05 11月 2018 01:51)

    善人が犯罪者となってしまったり、結構な悪るが捕り手だったり、それを自由に興味深く描けるのがフィクションだと思います。
    専門技術は出て来なかったと思いますが、高瀬舟の罪人は全く良い人でした。

  • #13

    ぅぉ (月曜日, 05 11月 2018 06:08)

    高瀬舟は読んだ事ないのですが、wikiで調べたことがあります。
    安楽死がテーマだそうで。 それは現在法で認められて無いのかも知れませんが
    絶対悪とも言えない気がします。
     ま、これは鴎外さんの話ですから田崎さんが得意分野ですね。

  • #14

    michiko (月曜日, 05 11月 2018 09:40)

    はい、専門分野です!^o^
    高瀬舟について語るとまた長くなるので(笑)別の機会にしますが、あの罪人さんは、まったく興味深いです。ぅぉさん、是非ご一読を。ネットにありますよ、短いです。
    「善人が犯罪者となってしまったり、結構な悪るが捕り手だったり」
    これは、池波正太郎さんも、人は善も悪も両方もっているみたいなことを度々言っていますね。
    『鬼平犯科帳』、大好き、、。

  • #15

    ぅぉ (月曜日, 05 11月 2018 13:09)

    あざす 読みました。 本当 短編  読めない字は飛ばしましたがw
    大体の筋は理解できました。
     この方を罪人とするなら、切腹時の介錯の人も罪人ですね。
    とか屁理屈をこねてみたくなる。 安楽死と知足が題材wikiの通りですね。