年が明けて13日も経ってしまいましたが、、。
みなさま、今年もどうぞよろしくお願いします。
気分も新しく!といきたいところですが、年頭からまたまた”ポワロ”です、、すみません。
書き始めたら終わらなくなってます、マズイ、、。
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ポワロの謎解きは、読んでいてスカッとするほど明解で見事なのだが、一つだけ気になるところがある。
物語のクライマックス。真犯人は誰なんだろうという場面で、ポワロは関係者一同を集めて真相を語る。
ほとんど芝居の口上のような演説をぶつのだ。
この彼独特の演出については、周りの人々( たぶん相棒・ヘイスティングス大尉を除いて…)も、辟易しているだろう空気がなんとなく伝わる。
ドラマの脚本家の気持ちでもあるんだろう。ジャップ警部が「これはポワロさんのやり方なんでね、、。」と諦め顔で同僚に説明するシーンがある。
この大仰な演説は、特に長編において殆ど”お約束”みたいになっている。
日本のミステリーのクライマックスが、何故か海岸とか絶壁が多いのと似たようなものだ。
最近のミステリーはリアリティが追求されていて、見終わった後に惨澹たる気持ち、やり場の無い気持ちに陥る時が多々ある。
あまりに現実的で引き込まれてしまい、当事者になったような気になるのだ( 私だけか…?)。
犯罪なんてみんな救いようがないのだから、それをリアルに見るのは辛い。
ほんの少しの”ファンタジー”や”嘘臭さ”が、見る人の気持ちを救う。
「これは”お話”なのだ。」そう思い出して、ちょっとだけ安心するのだ。
ポワロの演説で特にいただけないのは、無実の人も含め殆ど関係者全員の秘密をみんなの前でバラしてしまう。
「あなた、あの時に彼女と何してたんですか?」
「あなたの借金、ギャンブルで首が回らなくなりましたか?」
「あなた、コカイン売って大金稼いでますね?」
まぁこうやって、一人一人容疑者から除いていくんだろうけど、本人からすれば「それ、今じゃなきゃダメ?」だろう。
この、”全員を集めて演説”スタイルが成功したのが『オリエント急行殺人事件』だ。
最近、映画が公開され、人気スターが出演して話題になったから、多少のネタバレを許してもらえるなら、クライマックスでポワロは、雪に閉じ込められた列車の食堂車の中で関係する12人の乗客たちと対峙する。
容疑者を一堂に集め、一人ずつ嫌疑を晴らしていくというやり方は正しい。
というか、この場合それしかない。逆に一人ずつ容疑が濃くなっていくわけだが…。
多分、クリスティーは『オリエント急行殺人事件』を書きながら「いいじゃない、これ ^ ^ 」と改めて思ったんじゃないかなぁ、、。
何故ならこのスタイルは、、。
1.ストーリーの伏線部分を、一度に読者に解説できる。
2.天才ポワロの素晴らしさを、犯人だけじゃなく関係者全員に知ってもらえる。3.彼女はポワロが大嫌いだから、「灰色の脳細胞は素晴らしいけれど、ほら、こんな”やな奴”なのよ!」とみんなにお知らせできる(笑)。
かくして、ポワロの演説はその後、多くの長編に登場することになった、、。
なんてのは私の勝手な想像だけれど、「マダム&ムッシュ」と始まって、滔々と一席ぶつ彼の姿は、特異過ぎるキャラクターと相まって、読者に強烈な印象を残した。
およそ女性にモテそうにない風貌にも関わらず、ここまで女性たちに人気があるというのは大いなる謎だ。
私がファンになったのは少女の頃だから、思春期の女の子の気持ちまで掴んだ事になる。
恐るべし、ポワロさま!
やはり、世界的な人気者というのは、これくらい突拍子もなく変わった人でないといけないんだろうか?
ただ、それを狙ったような”変な人”が、ミステリー界に量産されているような気もするのだが、、。
そこらへんの事を次回、考察(笑)してみようと思います。
***Part9に続く***
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ぅぉ (月曜日, 14 1月 2019 02:10)
お疲れ様です。
好きだからこその突っ込み。 大変興味深いです。
次が楽しみです。
私は原作を読んでません。 アニメは見てました。
ポワロさんはヒゲの叔父さんでした。 中の人は里見浩太郎さんでした。
何処に魅力があったのか、見れる日は見てたきがする。
何なのでしょう。
楽しみ
michiko (火曜日, 15 1月 2019 07:42)
ぅぉさん、「楽しみ」と言われると元気が出ます〜 ^ ^
あれこれ考えるとまとまらないないですね。でも、そこがまた楽しいと言うか。
次回も長くなっちゃうかなぁ、、。