私は、写真を撮られるのがあまり好きじゃない。
カメラを向けられたとたん居心地が悪くなって、昔の写真には「なんで撮るの?」とでも言いたげな、不機嫌そうなのが何枚かある。
ある日、ピアノを教えているミュージック・スクールで、先生の顔写真を一人ずつ撮ることになった。
カメラを構えた校長さんが、「みちこさん、笑ってください。」と何回も言うのだが、どうにもうまく笑えない。困った校長さんが「みちこさん、歯を見せて笑いましょう。」と歯の見せ方まで教えてくれて、ようやく満面笑顔の写真が撮れた。
集合写真ならなんとかなるんだけどね....。
このブログのギャラリーにある写真は、イズイズ( ブログで以前紹介したスーパーウーマン☆ )の友人・yukoさんが撮ってくれた。
最初は、ライブ・ハウスに出演する時にお店に送るプロフィール写真のつもりだった。いつも携帯で自分撮りした情けない写真(笑)ばかり送っていたので、ちゃんとした写真が一、二枚あるといいなぁというくらいの気持ちだった。
沼袋のスタジオで撮影が始まったのだが、あまりに本格的で、正直驚いた。
バックグランドにお洒落な音楽が流れ、イズイズはヘアーメイク、表情を柔らかくする為にハンドマッサージまでしてくれて、着替えの衣装が何着も並び、yukoさんは照明を考えながらきびきびといろんなアングルから連写する。
彼女は肩書きはライター兼エディターだが、なんだか場数を踏んだプロ・カメラマンの風格だ。
テレビドラマで水着のモデルさんにカメラマンがポーズをつけるシーンみたいに、「あ~、その表情、いいですね!」なんて本当に言うもんだから、こっちもどんどんいい気になって、自然とカメラ目線でニンマリ微笑んでしまう。
着替えたり髪型を変えたりして、もの凄い数の写真を撮り終わった後、私の頭の中には花が咲き乱れ、色とりどりの蝶が舞い、小鳥たちが凄い勢いで飛び回っていた(笑)。
何枚かを選んで、yukoさんがスライドショーにしてブログにのせてくれた。
私の性格からすると、そういう事は気恥ずかしくて絶対嫌だ、、と思うはずなのだが、全くそんな気持ちがおきなかった。
この一連の写真は、私のものというより、イズイズとyukoさんと私の共同作品みたいなものだ。誇らしく思いこそすれ、恥ずかしいなんてどうして思えるだろう....。
たくさんのアイディアを出して、現場ではいろんな事を手助けしてくれたイズイズ、けっこう重いカメラを両手に構えて、スタジオ中を縦横上下に動き回ってくれたyukoさん、そして、カメラの前でめちゃめちゃ幸せな気持ちで笑っている私がいる。
こんな時間を経験できた事は本当に宝物だと思う。
ギャラリーの写真は謂わば、栞(しおり)みたいなものだ。そのページを開けば、あの時の彼女たちと私にいつでも会える。
あれから半年、相変わらず写真を撮られるのはあんまり好きじゃないけれど、カメラの向こうにいる誰かさんに、前よりちょっとだけ心からの笑顔ができるようになった気がする。
番外編。
新境地....?
コメントをお書きください