スキー

新潟出身というと、たいがい「雪が凄いでしょう。」と言われる。

新潟県は北東から南西に随分と長い県で、私が生まれた新潟市は、湯沢や十日町といった豪雪地帯とはだいぶ離れているし、日本海を隔てて佐渡島があるおかげでそれほどの大雪は降らない。

それでも、私が小さい頃は、新潟市内にも雪が今よりたくさん降った。

一番すごかった時は、一階の屋根まで雪が積もって玄関から出られなくなった。子供にとっては大イベントだが、大人たちはさぞ大変だったろうと思う。

毎年そうであれば備えがあるが、新潟市は、忘れた頃にドカッと降った。

 

小学校の校庭が一面の雪だ。

ちょっと小高くなっている場所に自然のスロープが出来て、どこから持ってきたのか思い出せないが、小さな子供用のスキーに長靴をひっかけて、みんなでキャッキャキャッキャ騒ぎながら滑った記憶がある。

 

親戚の叔父さんに、大きなスキー場に連れて行ってもらった。

大勢のスキーヤーで混雑する休憩のロッジは、持ち込まれた雪で暖かく湿っていて、ジュークボックスから流れる流行歌、大人たちが華やかに会話する様子や、日が落ちて暗くなった窓の外にライトの光でほの白く浮かび上がる雪原、まるで夢の中の出来事のようだった。

私はもっぱら下のゲレンデで、直滑降でひゃーっと叫びながら滑るだけだったが、それでもスリル満点。

全てが楽しかった。 

 


あのまま大きくなっていたら、今頃は普通にスキー愛好家になっていただろう。

 

新潟では、学校の体育の授業にスキーがある。( 他の県でもあるのかな?)

高校生の時のスキー合宿が”悪夢”だった、、。

 

二泊三日くらいだったんだろうか、引率の体育の先生に連れられて、近場のスキー場にわいわい出掛けた。

プルークボーゲンとか上手な転び方とか方向転換とか、いろいろ習って一日中滑る。

夜は大部屋でまとまって寝るのだが、修学旅行のように枕を投げ合うでもなく、昼間の緊張と疲れで即撃沈だ。

朝起きたら、なんと、足がパンパンにむくんで象の足のようになっていた o_o

私の足じゃない〜と恐怖に震えつつ、もうほとんどやけくその根性でゲレンデに向かう。

 

授業の仕上げに、リフトで登って山の上から滑るのだが、そこで先生がう〜んと考え込んだ。

「こりゃ〜プルークボーゲンじゃ降りられんなぁ、、。」

「よし!斜滑降を教える。こうやってこうやってこうしてこうだ。いいか!ちゃんとやらんと直滑降になって、崖下まっさかさまだぞ!」

「ひぇ〜!(泣)」

 

とまぁこういう訳で、すっかりスキーが怖くなってしまった。

どんなにゴージャスで魅力的なツアーでも、スキーをやるならパス、どんなに付き合いの悪い奴と罵られようが絶対にパスだ。

この時期、新幹線でも高速バスでもスキー客が多い。

あの”悪夢のスキー合宿”さえなかったら、こんなふうに楽しめたのかなぁ、、とちょっと考えてみる。

 

まじっと考えてみたが、いやぁ....やっぱりお家でホラームービーだなぁ....。

だって、たとえスキー愛好家になったとしても、真冬にスキーに出掛けるより、暖かい部屋でみかんを握りしめながら、極恐のホラーで「わぎゃ〜!」と叫んでいる方が楽しいに決まっている。( そもそも、そういう性格の人はスキー愛好家にならないし.... -_- )

要は、どちらがより好きかの問題だ。

 

スキーは、新潟県人の最低限のたしなみとしてちゃんと学んでおくべきだと思うので、あのスキー合宿は行って良かったのだ。新潟に生まれて、スキーは直滑降のみ!てのは、やはりちょっと清々し過ぎる。

でも、ホラー級の恐怖を味わうのは映画の中だけでいい。

”象の足のように膨らんだ足”は、今でも夢に見そうだ、、。”直滑降で崖下”も背筋が凍る、、。

 

大のホラー好きというのは、えてしてとっても臆病だったりする。

実生活では、平穏無事が何よりだと思う(笑)。