今回の自粛要請で、”にわか料理人”が増えたようだ。
外食ができない、行きつけの店は閉まっている、スーパーのお弁当も飽きたとなれば、いくら独身貴族でもいっちょ包丁でも握ってみるか.…となる。
まめに台所に立つ人も、この際だからと普段絶対やらないような、時間がかかってめちゃ手の込んだ、後々友だちに自慢できちゃうぞってな野心的な料理に挑戦したんじゃないだろうか?
私の場合、野心的な試みにもちょっと心惹かれたが、誘惑を振り払ってまず誓ったのは「リベンジ!」だ。
焦げて鍋ごとダメになったビーフシチュー、ニンニクを入れ過ぎたせいか予想外なものになったエスニック料理、分量を計らず適当にやったおかげで大量にできてしまった乾物の煮物、、。
屈辱的な失敗の数々が、絵巻物のようにハラハラと思い起こされ、何故か美味しいものを食べた時より鮮明に覚えているのだ。
期待と結果の落差が絶望的に大きいと、記憶に残るダメージは深刻になるらしい。
料理で失敗した場合、私のように独り者であれば「リベンジ!」と叫んで済む。失敗の原因をくどくど考えながら、一人でがっかりして終了だ。
家族がいた場合、一体どうなるんだろうか?
父の場合、退職後に食事を共にする家族が母一人だった
母は、失敗に対して”情状酌量”というものがない。
相手の心情を慮って、とか可哀想だから、というのはよほどのことがない限りほぼ無い。
一貫してダメなものはダメであり、失敗は失敗で”上告却下”だ。
「しょっぱい、甘い、味がない、生煮えだ、、、なんか美味しくない、、」ぼそっと言って箸をつけない。
他からの援護射撃もない訳で、父の精神力にただただ脱帽する。
さすがに時々、癇癪を起こしていたが、、。
でも母は、成功に対しては満面の笑みで「テンハオ~!」だった。
”テンハオ”というのは母的に「美味しい~!」という意味らしく、ネットで検索してもそんなのは出てこないのだが、我が家では定着していた。
”テンハオ”の料理は”最高!”ということだ。
美味しいものを食べる時の母は、ハフハフもぐもぐと見ていて本当に気持ちが良い。
父は、母の笑顔が見たかったんだなぁ、と思う。
父自身も食いしん坊だったが、レシピには母の好物が多い。
このところ毎日、料理を作っていて、そんな父の気持ちがちょっとわかるような気がした。
2ヶ月半の自粛で、料理リベンジ計画は着々と成果を上げている。
「なぁんだ、やれば出来るじゃん、あたし❤︎」と思う今日この頃である。
***Part4に続く***
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本間俊一 (金曜日, 19 6月 2020 22:19)
美味しいのハオチィではなく、テンハオとは最高に美味いとの美辞なのでしょうか。
厳しい評価にも耐えたお父様の心の強さに、敬服です。
michiko (土曜日, 20 6月 2020 06:03)
なるほど、本当はハオチィという言うのですね。
ハオってなんか美味しそうな響きですもんね ^ ^
テンハオは、あまりに我が家で定着していたので、ずっと一般語かと思ってました(笑)。
ぅぉ (土曜日, 20 6月 2020 12:16)
そうですか。田崎さんも色々錬成されてましたか。
何かイメージでは、卒なくこなしてそうなイメージでしたが。
私は照り焼きチキンを作ろうとして、何の禁忌も犯してないのに
心理の扉が見れそうな禍々しい何かw を練成した事がwww
おいしいは 好吃(ハオチィ) テンハオは「頂好」こんな字で
元は軍隊の俗語で「最高 ・最高に気持ちが良い」といった意味なのだそう。
ネタ元は yahoo知恵袋先生です。w
michiko (月曜日, 22 6月 2020 08:04)
お〜、軍隊の俗語でしたか! 母はどこで覚えてきたんでしょう...(笑)。
貴重な情報、ありがとうございますm(_ _)m
今度、照り焼きチキンの件をkwsk !
ぅぉ (木曜日, 25 6月 2020 11:38)
世代的には、お母様より上の世代だとおもいますが、ご親戚またはご友人に
満州に行かれていた方がいらしたら、そこ経由かと。
照りチキは大したこと無くて、火を止めるのが遅すぎただけ。市販の製品くらいの
色になるまで炒めてたら、火を止めてからも色が濃くなっていき、コールタール?
って思うくらいの代物に。 味もめっちゃ不味かった。
michiko (金曜日, 26 6月 2020 08:35)
満州!『ラストエンペラー』は何回も見た、、★
照り焼きチキン。実を言うと、今回のリベンジリストに入っていました。
ちゃんと出来ました(笑)。