新潟には随分と長い間、定期的に頻繁に帰っていた。
両親の体が弱ってきて家事を助けるために月2回ほど、父が倒れてからは介護で新潟に住まいを移し、両親が亡くなった2014年以降は家の管理のために毎月一回、帰った。
新潟と東京、両方が自分の居場所という感覚だった。
去年11月に実家を売却した時は、東京だけになるんだなぁという寂しさと一緒に、張り詰めた気持ちが解け肩の荷を下ろした安堵の気持ちもあった。
幸いなことに、家を買ってくれたのが母方の従姉妹で、今年の春には前庭の梅の木の写真を送ってきてくれた。
「白梅がとても綺麗に咲いていましたよ。」
写真を眺めながら涙がポロポロでた。
定期的に帰ることはなくなっても、8月はお盆だし、10月には新潟高校の同窓会が盛大に開催される。
その前に5月頃でも一度帰って、行きつけの美容院に行って幼馴染みと食事をして友達とお茶して親戚の家に遊びに行って、、といろいろ楽しいことを考えていた。
今回のコロナで、全部が無しになった。10月の同窓会までもキャンセルになった。
仕方がない事だと自分に言い聞かせつつ、にわかに深刻な問題になったのは”美容院”だ。
新潟市古町の美容院には20代の頃から通っていて、気心の知れた美容師・長谷川さんがいる。
彼女はとても優秀な上に、私が美容に対してとんと無精な事もよく分かっていて、
「田崎さんも、ちゃんとやれば綺麗になるんだけどねぇ、、。」と、ありがたい諦めの言葉を何度も頂いた。
長谷川さんに髪を切ってもらいながら近況報告をし合うのが、帰省の楽しみの一つだった。
去年の11月以来、東京で新たに美容院を探していない。
しばらくは新潟で、長谷川さんにやってもらおうと思っていた。
一度帰ると春先に決めた時点で髪は既にだいぶ伸びており、自粛が長引く中、いくら私でもこれ以上はもう無理という状態になった。
さてどうしたものかと、毎朝鏡を見ながら悶々とした。
いよいよしょうがなくなって、家中で一番よく切れるハサミと化粧用の鏡を前に置いて、覚悟を決めた。
長谷川さんは、毛先を少しづつ、自然に見えるように丁寧に切っていた。
ちょっと真似してみようかと一瞬迷ったが、無理なことはしないに限ると思い定めた。
ジャキーン、ジョキーン、ジャキーン、、。
ものの数分で切り終わった。
市松人形のような仕上がりに、我ながらぷっと吹いた。
これは、今度長谷川さんに会った時に大笑いされるなぁと思った。
でも夏だし、アップにするし、、。
( まさか自粛でこんな事までやろうとは、、。)
前髪は時々自分で切って失敗していたが、全部を切ったのは人生初めてだ。
コロナはまさに、歴史的な出来事なのだ、とつくづく思った。
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ぅぉ (火曜日, 14 7月 2020 20:34)
写真は?
アップはよっ
michiko (水曜日, 15 7月 2020 10:03)
いやいや(笑)、アップにすれば代わり映えしないっす。
ぅぉ (日曜日, 26 7月 2020 11:45)
ワテクシは行ってきましたよ。 床屋 (ま、1000円カットの店ですが)
てっぺん焼け野原のワテクシに床屋必要かとの疑問も発生すると思いますが
側面、背面が延び放題になる為、ただでさえみっともない頭がさらに酷いことにw
なのでコロナ禍の中でも定期的に通ってます。
michiko (日曜日, 26 7月 2020 13:35)
東京でも行きつけの美容院があれば行くのでしょうが、新たに探すとなるとね、、。
一度自分で切っちゃうと、妙な自信が、、なんだ、これでいいじゃん、、とか(笑)。