私の部屋は、ずっと長く青色基調だった。
いつからか思い出せないけれど、絵でも置き物でもタオルでも、お店でちょっと良いなと思って目を留めると青系のものが多く、自然に部屋の中が青っぽくなってしまった。
真夏の青空のように澄んだ青やラベンダーの花色の少し紫がかった青、深い海の底を思わせる濃い青や湖水のように淡い青、、。
それぞれの青色は、目に入るたびにきっと何か謎の作用が働いて、心がざわついたりチクっとしたり包み込まれたり吸い込まれそうになったりする。
その謎の何かは一瞬のもので、正体を知ろうとしてもすぐにぼやけて掴みどころなく消えてしまう。
過去の思い出か未来の予兆か、前世の記憶か単なる脳内刺激なのか、、。
私にとって青は、好きという以上に因縁めいたつながりを感じる色だった。
ところが、、。
今年の年明けのある日、カーテンをピンク系にしようか....といきなり思った。
春に向けて、とか青はもう飽きたから、ではなく、ほんとに急にむくむくと”ピンク”と思った。
“自分のことは自分が一番分からないものだ"とよく言われるが、いやいやそんな馬鹿な、自分のことは自分が一番分かっていると信じていた。
でも、実体験として、やっぱりさっぱりちっとも分かっていないのだ。
ピンクはそれほど好きな色ではないのに、大した理由もなくまるで突き動かされるように、ネットで北欧風デザインのピンクのカーテンを買った。
かくして私の部屋は、2ヶ月かけて青からモスピンクに変わった。
絵や置き物はそのままなので、小さなアクセントのように青が散らばってなかなか素敵だ。
居心地が非常に良い。
しかし、なぜいきなり”ピンク”と思ったんだろう?
分からないなら、”直感””衝動 ”ということにしておけば良いものを、クヨクヨだらだら考えてしまうのは「私のいつもの悪い癖」ってやつだ(笑)。
結果なんとなく行き着いた答えは、、。
私はきっと人恋しかったのだ。
おしゃべりも触れ合うことも顔をしっかり見ることも(マスクのせいで)できずに、毎日、理不尽な不正や愚かさのニュースを見聞きし、希望が打ち砕かれるたびに失望し絶望し、先が見えない不安ばかりが募っていく、、。
そんな日々の中で、孤独には強かったはずの私の心が、きっと珍しく寂しくなったのだ。
桜の色は、冷えた気持ちを慰めてくれるような気がした。
先日、模様替えのことを知人に話したら、
「ピンクは幸福を呼ぶ色ですよ。これからきっと良いことがたくさんありますよ!」
ニコニコしながら言ってくれた。
すごく嬉しかった。
本当にそんな気がしてきた。
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まっち (水曜日, 17 3月 2021 00:38)
小耳をかすめた程度のいい加減な知識ですが、最近の脳科学では好き嫌いは、ただの錯覚でしかないとか。
お釈迦様は遥か昔に、そう言ってますよね。
でもたしかに、ピンクは幸福を呼びそうです。良い事が起こるといいですね。
michiko (水曜日, 17 3月 2021 06:04)
まっちさん、ありがとうございます ^ ^
脳科学とお釈迦様が結びつくなんて面白いですね!
確かに、錯覚を思い込んじゃってどこまでも思いつめちゃうのが恋愛かも(笑)。