鷗外-NHK『英雄たちの選択』

基本的に、NHKは嫌いだ。

受信料の強制徴収、非常に偏った政治報道、出演するコメンテーターがどうしてこういう人たちなのか、疑問がふつふつとわくことが多い。

公共放送を名乗るなら、ニュースや天気予報、自然・文化関係に限って放送すればいいんじゃないかと思う。

チャンネルは一つで十分。スクランブルって方法もある。

 

そうは言いつつ、NHKオンデマンドをずっと契約している、、(笑)。

『100分de名著』の伊集院光氏のコメントが好きなのと、時々、日本文学関連で面白い番組があるからだ。

先日、1/11に放送された『英雄たちの選択 森鴎外・37歳の転機~小倉”左遷”の真実〜』がとても良かった。

 

エリート街道まっしぐらだった鷗外の人生に訪れた初めての挫折-不当な人事に憤りつつも、日々の生活の中で新しい出会いや気付きを得て、人間として、文学者として、哲学者として、さまざまな意味で深みを増していく。

”知の巨人”と言われる鴎外が、人としてもどんなに魅力的だったかは、彼の子供たちの著書中の数々のエピソードから伝わってくる。

小倉”左遷”は、鷗外を大きく成長させるきっかけとなったのだ。

 

、、ってのは、鷗外研究でよく見るテーマなんだけど、番組最後で日本歴史学者の磯田道史氏が語ったコメントが、とても興味深かった。

 

国家の高級官僚でありながら、他にもさまざまな顔を持っていた鷗外。

「今を生きる僕たちに鷗外の生き様(ざま)を見つめる必要というのは大きいと思いますね。

なぜかと言うと、今、近代の壊れが起きていて、、」

 

以下、磯田道史氏のコメントを要約すると、

 

『近代人は、”公私にわたり”という言葉があるとおり、職場と家庭という二つの砦を持っていた。

しかし、近頃の職場はいつまであるかわからないし、家庭といえば結婚しない人が増えていて、所属がない-言い換えればいろいろな顔を持つ人が、今、多数存在する。

いろいろな顔を持ち、しかも最高の知性を持って、その中でいろいろなことをやって苦しんだり楽しんだりしたのが鷗外。

肩書きなんて意味を持たないような社会がもし来るとすれば、鷗外こそ未来人なのでは?』

すっごい新しい切り口だなぁ、と思った。

学歴や肩書きを自慢する人が陳腐で滑稽に見えてしまう昨今。

もし、鴎外が現代に生きていたらどう行動するかなぁ、と想像してみた。

官僚、辞めちゃうかな、フリーランスの文筆家とかちょっと違う気がするし、、。

 

またとんでもなく長くなりそうなので、今回はここらへんでやめておく(笑)。

 

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コメント: 4
  • #1

    ぅぉ (日曜日, 29 1月 2023 11:31)

    『100分de名著』は興味があるも、うちTVないし契約もしてないので
    みれません。 伊集院さん面白いですよね。 先日、千原ジュニアさん
    と言うお笑い芸人さんとの対談動画をみてそれが非常に面白かったです。

    森鴎外さんのことは、ほとんど存じ上げませんが、複数の顔というか生業
    を持っていると言うのはすごくうらやましいと思う。

  • #2

    michiko (日曜日, 29 1月 2023 21:41)

    生業-”なりわい”って味わい深い言葉ですね、、。
    お金を稼ぐっていうより、そのことをやり続けるために生きるっていうような意味も感じてしまいます。( 私だけかな? )
    鷗外の場合、”なりわい”にしたかったのは小説家の方だったりして、、。

  • #3

    まっち (月曜日, 30 1月 2023 01:24)

    老人なので、最近は殆どイヌ・アッチ・イケーしか見ません。
    朝ドラ、大河、みんなのうた、ドキュメンタリー、科学番組からシーズンが始まればMLB中継、etc.
    見出したら、時間がいくら有っても足りない。

    ニュースは、日本一確実で公平だと思います。信頼性を確かめるシステムが結構しっかりと出来ていて、一個人の考え方は放送されない様になっているようです。
    政治報道も私には、十分に公平であると思いますが。

    鴎外、やっていましたね。録画してあるのでもっかいじっくりと見直します。

  • #4

    michiko (月曜日, 30 1月 2023 21:43)

    2022年は鷗外没後100年でした。
    鷗外記念館でもいろいろやってたし、ファンにとっては嬉しい一年でした。