“さもしい"

 先日、京都清水寺で発表された「今年の漢字」は『税』だった。

 

なんとも味気ない、でもまさにこの一年、国民も政治家も、日本国中が『税』に振り回されたような気がする。

 


12月17日の産経新聞に、故・安倍晋三元首相の外交スピーチライターを長年勤めた谷口智彦氏の寄稿があった。

谷口氏は、2015年ワシントン米国上下両院会議での「希望の同盟」演説の原稿を書いた人だ。

言葉に対する研ぎ澄まされた感性を持つ氏の原稿による安倍首相のスピーチは、今聞いても感動するし、当時は日米多くの人が絶賛した。    

 

産経新聞の寄稿は、岸田政権の外交姿勢について批判する内容だったのだが、最後の一文「安倍カラーを消したい意欲が首相において強いのだとすると、さもしい話ではないか。」の中に、谷口氏の激しい怒りを感じた。

そして、”さもしい”という日本語が持つ恐ろしいほどの力-日本人の美意識が決して許すことのできない、最上級の軽蔑・侮蔑を感じた。

強い衝撃を受けて、目が止まってしまった、、。

 

そもそも日本語には、相手を罵る言葉がとても少ない。

ずっと以前、英国TVドラマにハマった時にこのことに気が付いた。

イギリスやアメリカでは、相手や事柄を馬鹿にする場面でさまざまな悪口を口にする。

シチュエーションごとに多種多様、まぁ覚えきれないくらいたくさんあって、一度面白いからメモに書き出してみたら、キリがなくて途中でやめてしまったことがある。

欧米では普通にポンポン言うらしく、一種の軽口に近いんだろう。関西弁の「アホ」みたいなものか。

 

日本-例えば東京で、「馬鹿」とか言ったらそれなりに場の空気が変わる。

面と向かって軽々に口にしない、信頼関係の度合いに注意、といった暗黙のルールが社会一般にある。

日本人はあまり人を攻撃したり蔑んだりしないのだと思う。

だから、罵る言葉-その種の語彙がとても少ない。

逆に言えば、少ない分、攻撃力が時にハンパない。

 

谷口氏の書いた”さもしい”が、私の選ぶw「今年の漢字」ならぬ「今年の言葉」かなと思った。

目にした時の衝撃があまりに大きかったから。

そして、悲しいことにこの一年、日本中に嫌なニュースがとても多く、”さもしい”と言う日本語が、私たちの静かな怒り-特に政治や司法、メディアに対する諦めに近い怒り-を一番表していると思ったから。

 

でも、めっちゃ嬉しいニュースもあった。

藤井聡太八冠、大谷翔平選手、来年も大大活躍を期待しています!

 

今年一年、ブログを読んでくださり本当にありがとうございました。

来年が、みなさまにとって幸せな良い年になりますように。

 


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コメント: 2
  • #1

    ぅぉ (木曜日, 28 12月 2023 20:19)

    良いお年を

  • #2

    michiko (木曜日, 28 12月 2023 21:08)

    ぅぉさんも、良いお年を!^ ^v