羊の。。。

世界にはたくさんの国があって、人種も文化もそれぞれ違う。

よく知っていると思っていた国に思いもよらない風習や習慣があって、「えっ?」と驚くこともある。

 

日本文化も、今でこそアニメの影響もあって世界中で知られているが、こんなに人気になる前はほとんどの外国人にとって未知の文化だった。特に食に関して、、。

 

魚を生で食べるという習慣が西欧人にはなかったんだろう、オーストラリアだったか、めちゃくちゃ活きのいい魚を店頭に並べた日本人の魚屋さんが動物虐待で訴えられた、なんてニュースを昔読んだ。

ヨーロッパで初めて開業したラーメン屋さんが、お客さんたちがラーメンのスープが冷めるまでずっと食べないで待っている、と嘆いた話や( 向こうの人はだいたい猫舌… )、 日本人が蕎麦を啜る音を聞いた外人が発狂した話など、食に関する異文化エピソードは数限りなくある。

 

つい最近、アイスランドのサスペンス映画『湿地』を観た。

北欧の犯罪ミステリー映画は結構好きだ。

全体が寡黙で重くて、独特のテンポと緊張感がある。

だいたいが救いのない結末で、その悲哀感が日本人の感性とどこか似てたりする。

 

『湿地』の主人公の刑事は一人暮らしで、職場からの帰り道にテイクアウトのお店に寄って夕食を買う。

 

「いつものを?」

「ああ、羊の頭をくれ。」

 

ふ〜ん? マクドナルドみたいなお店の地域限定メニュー( 月見バーガーとか )の隠語かな?

と思っていたら、家に帰り着いて彼が食べ始めた”それ”は、正真正銘、”羊の頭”だった。

 

目玉をナイフでくり抜いて頬張ると、バリバリとその小さな頭の肉を剥がして美味しそうに食べ始める。

私は「ひえ〜、、。」と心の中で叫んだ。

いきなりのショッキングな映像にたじろいでいると、映画は何事もなかったように淡々と進行していく。

数分後、「あぁ、これってアイスランドの日常なんだ。」と理解した。

 

後でWikipediaで調べたら、アイスランドの”スヴィーズ ”という伝統料理だった。

 

 

 

 

*羊の頭を半分に切り、毛皮を取り除き、脳を取り除いて茹で、乳酸硬化させることもあるアイスランド料理。(Wikipediaより)


世界の文化は、めちゃめちゃ多様性に満ちてるのだ!

 

、、なんて、最近リベラルの人たちが何かにつけて多様性多様性と騒ぐから、こんな変てこな文章が我知らず出てきてしまった。

文化は地域の伝統の継承なんだから、いろいろあって当然なのだ。

他国の人が「わっ!」「えっ?」とか言う筋合いのものではない。ほっといてくれ、なのだ。

 

アイスランドの人が羊の頭を食べるのも、日本の居酒屋で白子のポン酢和えをスルッと食べるのも、その地域の人たちがずっと長く続けてきた習慣で、歴史や地理や民族性とも深く結びついていると思い至ると、他の国の食についてもっといろいろ知りたくなってきた。

食文化の違いは、本当に興味が尽きない話題だ。

 

そう言えば、日本人が鯨を食べるのは野蛮だ残酷だと盛大に抗議していた環境保護団体の方々は、最近めっきり静かなようだ。

食の”多様性”を認めるようになったのかな(笑)?